2024年度 スタートアップ・エコシステム共創プログラム GAPファンドプログラムの採択者を公開しました。
スタートアップ・エコシステム共創プログラムGAPファンドについて
科学技術振興機構(JST)「大学発新産業創出基金スタートアップ・エコシステム共創プログラム」の採択プログラムであるPARKS(Platform for All Regions of Kyushu & Okinawa for Startupecosystem:オール九州スタートアップエコシステムプラットフォーム)による「2024年度 スタートアップ・エコシステム共創プログラム GAPファンドプログラム 」に、長崎大学から3名の教職員のシーズか採択されました。
本プログラムは、新しい現象の発見や原理の開発を目指 す基盤研究ではなく、研究成果と事業化の間のギャップを埋めるため、事業化に向けて達成すべきマイルストン(研究開発および事業化に向けて節目となる中間目標)を設定し、ビジネスモデルのブラッシュアップ、試作品製作、仮説検証のためのデータ取得(実験結果、計算結果)等の整備を進めることを目的としたプログラムです。本プログラムでは、起業に意欲的に取り組む教員等や大学院生の自己の研究成果、アイデアに基づく大学発スタートアップの創出を促進することを目的に、GAP ファンドやインキュベーションプログラム等を提供します。
※ PARKS ( Platform for All Regions of Kyushu & Okinawa for Startupecosystem:オール九州スタートアップエコシステムプラットフォーム)は主幹機関の九州大学、九州工業大学を含めた九州・沖縄の18の大学と、ベンチャーキャピタルである株式 会社 FFG ベンチャービジネスパートナーズで設立されたプラットフォームです。
※GAP ファンドとは、大学等の研究成果が商業的に価値あるものか検証するための追加的研究 や試作品開発等に供給する資金のことで、研究開発・検証と民間投資までのギャップを埋める資金をいいます。
起業活動支援プログラム(教職員)
Step1: ディープテックの試作開発、ビジネスモデル原案の作成(最大500万円、1年)。
Step2-1: 応用研究の成果を商業的な可能性評価まで引き上げる(最大2000万円、1. 5年)。
Step2-2: 商業的な可能性評価と起業の達成(最大4000万円、Step2-1と合わせて3年)。
起業活動支援プログラム(修士学生以上)
学生PJ Step1: 事業開発可能性を検討するプログラム(最大100万円、1年)。
学生PJ Step2: 事業開発から起業までの一気通貫プログラム(最大300万円、1年)。
Step2-1採択者
【研究代表者】
榎波 康文 教授(総合生産科学研究科電気電子工学コース)
【採択枠】
ナノテクノロジー・材料
【採択課題名】
「データセンターの容量拡大を実現する革新的通信デバイスの開発」
【プロジェクト概要】
ChatGPT等の生成AIの発展による爆発的なデータ量増大に伴い、Google, アマゾン、MS等のクラウドサービス事業者が所有する大規模データセンタや中規模データセンタは通信量増大にともなう深刻な通信速度、消費電力増大及び通信距離が課題となり、持続的かつ安定した成長に対する懸念が高まっている。本プロジェクトで開発する光通信デバイス「薄膜ガラス・有機光変調器」は、薄膜ガラスとポリマ材料の採用とそのデバイス化により従来の4倍の高速・広帯域通信、1/4以下の低消費電力化及び100倍の長距離通信を実現し、大規模データセンタが直面する課題解決のための最適光デバイスである。この革新的光デバイスの実用化により、大規模データセンタが有する通信速度、消費電力及び通信距離の課題を解決し、デジタルインフラとしての持続的な発展を実現する。
Step1採択者
【研究代表者】
川上 純 教授 (医歯薬総合研究科先進予防医学共同専攻リウマチ・膠原病内科学)
【採択枠】
創薬
【採択課題名】
「多発筋炎/皮膚筋炎に伴う進行性フェノタイプを示す間質性肺疾患に対する活性型IL-18特異的中和抗体の事業化」
【プロジェクト概要】
私たちはAMED難治性疾患実用化研究事業の採択を受け(医薬品ステップ1、R6-8年)、多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositics: PM/ dermatomyositis:DM)に合併する間質性肺疾患(interstitial lung disease:ILD) (間質性肺炎)(PM/DM-ILD)に対する、世界初の生物学的製剤の開発を目指している。PM/DM-ILDはアンメット・メディカルニーズが極めて高い難治性病態であるが、開発する生物学的製剤は、活性型IL-18特異的中和抗体(抗ヒト活性型IL-18ヒト化抗体)で、国際市場性も極めて高く、アライアンス等を締結した製薬企業(秘密保持契約を締結して協議中である製薬企業が中心になることが考えられる)と協働し、日本から世界への導出を視野に入れている。R6-8年度のAMED医薬品ステップ1ではカニクイザルを用いての抗ヒト活性型IL-18ヒト化抗体の安全性と有効性を評価することになり、R6年度4Qにおいて、カニクイザルでの検証は極めて順調に経過している。すなわち、医師主導治験へのステップアップが大いに期待できる状況にあり、予後改善と新規薬剤の導入が希求される指定難病難治性病態に対する世界初の生物学的製剤の開発研究である。
【研究代表者】
足立 智彦 准教授(移植・消化器外科)
【採択枠】
ライフサイエンス
【採択課題名】
「洗浄・滅菌が容易な内視鏡操作支援ロボットに関する開発・事業化」
【プロジェクト概要】
近年の外科医不足、かつ働き方改革により時間外労働が制限されだしたにも関わらず、手術件数は毎年増加している。一方、ロボット手術の普及にて、カメラを術者自身がコントロールできることがいかにストレスが無く安全かを実感しているが、ロボット台数の問題あるいはロボット手術のコストの問題から、今でも腹腔鏡手術を多用せざるをえない。腹腔鏡手術では、術者のほかに助手およびカメラ持ちの3名の外科医が必要であるが、上記二つの問題点を同時に解決するために、外科医1名が行っているカメラ持ちを器械で代用できないか、かつそれを術者自身が手を使わずに自身で操作できないか、さらにはそれを非常に安価に達成できないか、を目的とした器械開発を行う。
【関連URL】
PARKS 「GAPファンド 採択シーズ」
https://www.parks-startup.jp/program